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Experience

異業種からの挑戦。
自動車開発の中心地で技術革新が進む車載ECU開発に取り組む

住友電装株式会社電子事業本部 ES設計部 主席田中寛人

田中寛人氏は、地元、鳥取県の国立大学でソフトウエアを専攻。「常に新しい製品開発に関わりたい」と大阪の電機メーカーに就職し、組み込みソフトウエア開発担当者としていくつもの新製品開発に携わった。その後、東京の関連会社へ出向し、医療機器の企画・開発から販路開拓までを担当した。そして、次のフィールドに選んだのは、電動化や自動運転技術など、発展が著しい自動車業界。次世代の自動車技術開発に積極的に取り組む住友電装株式会社に転職して1年が経過した田中氏に、現在の手応えと今後の展望を語ってもらった。

自分が関わった自動車が世界中を走るという責任

2017年12月に設立100周年を迎えた住友電装株式会社は、自動車の電源供給や、電子信号をつかさどる、電線のアッセンブリー部品の「ワイヤーハーネス」分野で世界トップクラスの部品メーカーだ。2000年代に入ると、自動車の多機能・高機能化に対応するため、車載ECU開発にも着手。現在では、ヘッドライト、ワイパー、ドアノブなどを制御するボディー系ECU(電子制御ユニット)や、多くのECUのハブとなるゲートウェイECUの開発・製造、さらに各ECUや外部との高速データ通信を支える情報ネットワークを構築するなど、次世代の自動車に欠かすことのできない車載インフラを担う企業としても存在感を放っている。

田中氏は、ボディー系ECUの組み込みソフトウエア開発チームをまとめ上げ、プロジェクトを推進させるキーパーソンとして採用された。入社後に担当したのは、ある自動車メーカーの幅広い車種に搭載されるECUのソフトウエア開発だ。「自分が関わった自動車が目の前を何台も走り過ぎていく。その瞬間に感じた達成感と、同じだけの責任感はこれまで経験したことのないものでした」と社会への影響の大きさを実感している。

安定から挑戦へ、異業種に挑戦するなら今しかない

田中氏は、大学院修了後に大阪に本社を置く電機メーカーの開発部門で、掃除ロボット、ポータブルナビ、ブルートゥースヘッドセットなどの開発に取り組んだ。当初担当していたのは、新製品の組み込みソフトウエアの開発。しかし、持ち前の好奇心と向上心を評価され、担当工程は拡大。ソフト面だけではなく、ハード面の企画にも参加するようになり、ついには新製品開発の主担当までを任されるようになった。

さらなる成長の機会を求めていた田中氏に舞い込んだのは、関連会社の医療機器開発プロジェクトの話だった。プロジェクトチームの募集に真っ先に手を挙げ、システム開発のプロジェクトリーダーに。しかし、会社としても初めての取り組みだったため、あらゆる工程で課題が続出した。「プロジェクトを進めるために必要なことはどんなことでも取り組んでみようと行動していたら、いつの間にか生産指導や機械の組み立て、さらにはアメリカでの販売体制の構築までを担当することになっていました」と田中氏は笑う。

一心不乱に取り組んでいた田中氏だが、プロジェクトが軌道に乗り、安定した毎日が始まると何か物足りなさを感じるようになったという。「エンジニアとして自信を深め、異なる分野に挑戦するなら今しかないと感じました」。そこで、挑戦するからにはと次のステージに選んだのが、製品開発において安全性と品質が高いレベルで求められる自動車業界だった。

積極的な行動力と異業種の経験を発揮してほしい

「現在の自動車業界では、自動運転技術の発達などにより車載ECU部品のニーズが急速に拡大しています。当社としても多くの自動車メーカーの要望に応えるために、ボディー系ECUやゲートウェイECUの開発を担う電子事業本部を強化・拡大しています」と語るのは、電子事業本部の吉井正明技師長だ。

現代の自動車は、多機能・高機能化により車載ECU部品が増えている。そうしたなか、住友電装では「つなぐ」をキーワードに、車載ECU製品を開発設計から製造まで一貫して対応する。それは自動車が、多い車種では100を超えるECUを搭載し、「走るコンピューター」と言われるほど電子化が進んでいるため、一つひとつのECU開発においても他と連携させる技術が重要になっているからだ。吉井氏は「業界は違えど、組み込みソフトウエアの開発だけでなく、ソフトウエアで制御するハードウエアの開発にまで携わるなど、製品(システム)全体として幅広い視点でプロジェクトを捉えることのできる田中は非常に魅力的な人材でした」と採用の背景を語る。

入社後の田中氏は、持ち前の行動力を発揮して自動車業界の知識・ノウハウを習得。共同で開発に取り組む自動車メーカーの担当者からの評価も高い。「われわれの予想を超えるスピードと幅広さで、さまざまな業務を担っています」と笑う吉井氏からは、田中氏に対する信頼の大きさが感じられる。