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Experience

日本の大動脈の中間点・名古屋で
道路のすべての情報を編集する仕事に携わる

ナカシャクリエイテブ株式会社交通・G空間事業室 技術課猪八重武士

猪八重(いのはえ)武士氏は、地元九州の大学で海洋土木工学を学び、道路建設を得意とする建設会社に就職、配属先は首都圏だった。そこで高速道路工事などの現場施工管理業務を担当。工事スケジュールや原材料、人員の割り振りなどのマネジメントの経験を積む。しかし、地図に関わる仕事をしたいという思いをかなえるため、2014年10月、ナカシャクリエイテブ株式会社に入社。現在は交通・G空間事業室に所属し、主に高速道路事業者や地方公共団体が道路管理に使用する図面の作成と進行管理を行っている。

自分が作成した図面でインフラが守られている

猪八重氏が同社で担当するのは、地図の製版と道路図面のデータ加工業務だ。例えば、高速道路事業者や地方公共団体などの道路管理者から委託を受け、道路の舗装の種類や、橋、ガードレール、中央分離帯などの付帯物に関するデータを加工して統合的にまとめている。これは、各工程を異なる建設業者が担当し、図面が複数に分かれてしまっているために必要な作業。バラバラのままでは、道路のどこに何があり、いつ建設されて、どのような工法で工事されたのかなど、全体を把握できず、適切な道路管理ができない。
「断片的なデータをまとめた図面を利用することで、確実で無駄のない修繕計画の立案や、災害時の早急な復旧作業が可能になるのです」と猪八重氏。

同社では、こうした道路管理関連データ以外にも、生活に欠かせないインフラ(電気・ガス・通信)や鉄道・航空・宇宙事業、文化財など幅広いフィールドにおいて、図面作成やシステム開発、調査、設計、データ加工などの情報加工技術を駆使し、そのままでは活用しにくいデータから「利用できるデータ」を生み出すことで、社会に貢献している。デジタル形式のデータはもちろん、フィルム写真などのアナログ形式のデータを扱えることも強みの一つだ。「幅広い分野に業務を展開し、多岐にわたる技術でお客様の課題を解決できる、東海地区でも数少ない企業の一つです」

諦めきれない思いに気づき転職を決意

地元九州の大学で海洋土木工学を専攻し、主に港湾関係の土木について学んだ猪八重氏。卒業研究では、地域の土地利用に関する研究で、GIS(地理情報システム)を使った検証・分析を行った。津波の際にどれだけの深さの浸水が予想されるか、色分けで視覚的に表現されている、地域の洪水ハザードマップを見たことがないだろうか。こうした地図を作成するために活用されるシステムがGISだ。空間に関するさまざまな角度からのデータ(地理空間情報)を、特定の位置ごとに総合的に管理・加工し、視覚的に表示することで、多様な分析を可能にする。猪八重氏は、土地利用の研究を通じて、このGISの社会的な活用に可能性を感じ、興味を持つようになったという。

しかし、卒業後は道路工事を得意とする建設会社に就職。土木系専攻のため、同じ学科の同級生たちのほとんどは建設関連の企業に就職した。猪八重氏もその一人で、「あたりまえのように進路を決定してしまった」。

就職後は、高速道路などの工事現場で施工管理業務を担当。学ぶことも多く、毎日充実していたが、いつも頭の片隅にGISを使った仕事をしたいという考えがあった。就職してから1年間悩み抜き、思い切って転職活動を開始。本当に関わりたかった、GISを活用する仕事を名古屋に見つけたのだ。

前向きな転職者の受け皿になりたい

猪八重氏が転職活動をしていた当時、ナカシャクリエイテブでは事業領域の拡大を進めており、各分野の専門知識を持った、事業をけん引できる人物を募集していた。猪八重氏は大学で学んだ土木工学の基礎知識に加えて、前職で道路工事現場での経験もあったため、すぐに業務に適応。顧客の担当技術者とも円滑なコミュニケーションを取り、会社自体の信頼度を向上させたという。「若い彼には、専門知識ばかりに凝り固まらないように、柔軟に活躍できる環境を提供していきたいです。彼の知識と能力が発揮されれば、当社としてもさらに付加価値のある仕事に挑戦できると思います」と語るのは山口寛代表取締役社長だ。

山口氏は、今後も猪八重氏に続く、若い転職者を受け入れていきたいと考えている。企業に就職して働き始めてから初めて、自分の適性ややりたい仕事が明確になってくることがある。そのとき、就職した企業でやりたい仕事を目指すという選択肢もあれば、転職という選択肢もある。「若い人の転職は決して後ろ向きではありません。当社の業務は多岐にわたりますが、携わっていただく業務の内容は明確にしています。活躍できる業務があれば、ぜひ仲間に加わって、当社で活躍してほしいと思っています」と山口氏は笑顔を見せる。