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税務会計の枠を超え、
顧客企業への経営支援で地域経済の活性化を目指す

みそら税理士法人公認会計士・税理士廣岡隆成

地元の企業や金融機関の注目を集め、相談数も顧客数も増加

「以前は、主な業務は記帳・税務申告でしたが、経営支援をすることで営業しなくても相談が舞い込むようになりました」。廣岡氏が顧客企業の経営を会計面からサポートすることで、経営者は本業に徹することができ、企業は収益が上がりやすい環境になる。

そんな評判が金融機関の担当者の耳にも入った。「お客様に同行して金融機関の方に資料を提示して説明するうちに、『姫路にもこんなやつがいるんだ』と思ってもらえたんでしょうね。そのうち金融機関から案件が持ち込まれるようになりました」。その成果は同法人の業績にも表れている。顧客数も売り上げも4年前と比較して増加した。

「東京には私のような役割を担う人はたくさんいますが、姫路では希少です。ライバルが少ないので運がよかった」と廣岡氏。また、「東京ではチームを組んでお客様をサポートしていましたが、姫路ではお客様の規模が小さい場合が多く、自分一人ですべてをコントロールします」と前職との違いに触れる。「責任も大きいですが、自分の裁量で進められるのでストレスはあまりないですね」と明るい。

多彩なバックグラウンドをもつ人材を採用。
全員面接で意思決定力を磨く

廣岡氏は同法人の経営にも携わっている。心がけているのは組織の風通しをよくすることだ。「スタッフからの意見はどんなことであっても真剣に聞きます。言ってくれることは本当にありがたいことです」ときっぱり。その決意は前職の企業再生支援組織での経験から生まれたという。「そこには弁護士、コンサル、公務員などそれぞれに強みを持った人が集まっている。そこでいろいろな意見を聞くことが大事だと感じたのです」

その経験を組織づくりにも生かし、税務の経験にこだわらない採用を行っている。「税務という土俵のみで戦えば経験や知識で勝負が決まってしまいますが、それ以外に強みがあればお互い素直に意見を聞き合える。いろいろなキャリアの目線が入るから考え方も偏りません」と理由を語る。実際に同法人のスタッフのバックグラウンドはシステムエンジニア、人材紹介会社、金融機関、証券会社勤務など多彩だ。

同法人では4年前から採用にスタッフ全員が面接官になる「全員面接」を取り入れている。「22人のスタッフが何回かに分かれ、皆が応募者に会います。面接後に意見交換をして最後は多数決です。私も1票、社歴が浅い人も同じ1票です」。意見が割れることはめったになく、不思議とどちらかに落ち着くという。「全員面接を積み重ねると、組織の採用基準が全員身に付きます。そうすると組織の規模が大きくなっても誰にでも面接を任せられる。面接官を育てるために今いっしょに意思決定をしてもらっているんです」と意図を明かす。

「採用を重視しているので入り口は厳しいですが、そのぶん入って来た人には自由に仕事をしてもらっています。そこはコントロールしません」と廣岡氏。そのため同法人では離職率が低い。この4年間で退職したのは結婚で遠方に引っ越すことになった1人だけ。29年間を振り返ってもパート職を含めて退職したのは3人だけだ。

目指すのは雇用を生むこと、兵庫県経済の活性化

東京から生まれ育った姫路に戻り、どこに大きな違いを感じるのか。廣岡氏は「東京は経済合理性で物事が進む面が強いですが、姫路はそこに人間関係のしがらみが入ってくる難しさがある。この街で生まれ育ったからこそ、地域性や人間関係が仕事に色濃く反映されるのがよくわかります」と話す。

姫路にはものづくりの中小企業が多く、年に一度、顧客企業の工場や子会社を視察しにベトナムや中国に出張する。「話に聞くのと実際に目で見るのとでは全然違う。支援のあり方も変わってきます。視察にはスタッフを連れて行くので、彼らの視野が広がる機会にもなっています」と海外との接点にも触れる。

一方、私生活については「姫路には東京のように遊びに行くところが少ないですから」と苦笑。東京では毎週のように出かけていた趣味のサーフィンも今ではせいぜい月2回。「波の立つ日を見計らって徳島か鳥取に2時間かけて出かけています」と話す。

今後の目標は「やはり兵庫県経済を活性化させたいです。一社でも多く元気になって雇用を増やしてほしい。人を採用できるのはある程度の収益があるということ。その結果が雇用を生むことだと思っています。今は東京一極集中ですが、弊社も含めて地方の会社が一社でも多く雇用を増やせば、人の流れが変わってくると思います」