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Experience

船舶用ラッシング資材のメーカーで、マネジメント手腕を発揮

港製器工業株式会社総務部兼生産部 部長代理吉岡里篤

大手電機メーカーのグループ会社の東京拠点にて、営業職および管理職として組織を率いてきた吉岡里篤(さとしげ)氏。前職の事業縮小を機に新たな道を模索するなかでめぐり会ったのが、大阪府に本社を構える港製器工業株式会社だ。同社の東京事務所のまとめ役として吉岡氏の経験が買われることになる。50代で異業種への転職に不安もあったが、同社の事業と経営方針に魅力を感じてチャレンジに踏み切る。入社して約3年。総務部と生産部のリーダーとしてマネジメント手腕を発揮する吉岡氏に話を伺った。

東京事務所の営業責任者の話が舞い込む

大阪府高槻市にある港製器工業は鉄、アルミ、ステンレスを主体とした金属製品の企画、設計、製造、販売を行っている。事業は七つの分野に分かれており、多岐にわたる製品を扱っているが、なかでも貨物を海上輸送する際に船に固縛するための「ラッシング」資材を扱う企業としては世界でも有数だという。国内では唯一のメーカーだ。

総務部兼生産部部長代理を務める吉岡氏は、どのような経緯で同社に転職したのだろうか。「自分から積極的に転職先を探したわけではなかったんです」と振り返る吉岡氏。前職は大手電機メーカーのグループ会社でビジネスフォンなどのOA機器を扱っていた。営業職一筋で約30年。管理職として部下を率いて仕事にまい進していた。

しかし、事業環境の変化とともに部署は縮小。多くの仲間が職場を離れることになる。「事業再編なので仕方ないことですが、個人としてはつらい経験でした」と語る。「自分も一度、今後の身の振り方を考えてみようか」。そう思い始めたころに、前職の先輩から港製器工業という会社があると聞かされた。

「東京に営業拠点をつくるのでそれをまとめる人物を探している」。当時東京で働いていた吉岡氏は港製器工業の話に興味を持った。東京事務所の人数は約10名。前職で40名の部下をマネジメントしていた吉岡氏は「業種は違うが営業スタイルに大きな差はないはずだ」と考え、次第に転職へと気持ちが傾いていく。

しっかりした経営方針に魅力を感じる

話を聞くにつれ、吉岡氏はさらに同社に魅力を感じるようになる。「しっかりした経営理念があり、ビジョンもある。中期計画も立てられている。扱っている商品にも特異性があり、長い歴史がある。素晴らしい会社だなと思いました」

しかも本社は関西。吉岡氏は大阪府羽曳野市出身ということもあり、いずれは関西に帰りたいと思っていた。「これまでの経験が役に立つのであれば、違う道でチャレンジしてみよう」。いずれは大阪の本社勤務もあることをふまえ、2014年に転職を決めた。

東京事務所では同社の主力商品であるコンテナ資材や重点商品の落下防止庇(ひ)の営業を担当した。この分野の商品知識は全くなく、「新入社員のつもりで一から勉強していこう」とまずは現場を知ることに徹する。営業社員に同行し、業界の特徴や商品の特性、同社の仕組みを学んでいった。

そうして約2年。ある日、総務部への異動を命じられる。本社総務部の責任者が定年退職のため、吉岡氏が後任を託されることになったのだ。「3年間は東京事務所で頑張るつもりだったのですが、思いのほか早い関西転勤になりました」と話す。2016年9月、約13年ぶりの大阪暮らしが始まった。

組織を束ねていけるマネジメント実績を評価

同社は2013年4月に東京事業所を開設した。岡室昇志代表取締役社長は「長く関西を基点に事業をやってきましたが、やはり東京はビジネスチャンスが多いので、東京に営業所を出して事業展開したかったのです」と背景を語る。岡室氏はその責任者に吉岡氏を選んだ。

「大手企業で管理職として経験を積んでいたためか、貫録があってどっしりとした感じがありましたね」と初対面の印象を明かす。吉岡氏が前職で組合の委員長を務めたことにも「みんなのために役割を買って出る人なのではないか」と人望の厚さを感じ取った。

ここ最近、同社では人材の活性化が顕著だ。来期からの中期計画では開発に力を入れ、事業を拡大していくことを明確にしている。岡室氏はそのための開発職や技術職、管理職を採用する計画だ。しかし「プレーヤーは見つかりやすいですが、組織を束ねてマネジメントしていける人は少ないですね」と人材発掘の難しさを感じている。

そんななか、マネジメント手腕を発揮する吉岡氏の仕事ぶりは評価が高い。「大所高所から物事を見られる人。大きな会社にいたこともあって判断も常識的。プレゼンテーション能力も高い。よく中小企業である当社に来てくれたなと思います」と岡室氏。今後は「吉岡さんに言えばなんとかしてくれると社員たちが思うような、会社の柱になってもらえるとうれしいですね」と期待を込める。