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Experience

製品開発のキャリアを買われ、
乳製品メーカーでチャレンジの日々

日本酪農協同株式会社製品企画開発部主幹垣原徳彰

食品の開発の奥深さに気づく

垣原氏の主な仕事は新製品の開発と既存商品の改良やコストダウン、営業部門のサポートなどだ。上司である部長のもと、主幹として4人のスタッフの業務全般をマネジメントしている。

14年間勤めた食用油メーカーではキャノーラ油や炒め油、健康オイルなど家庭用食用油の開発を行っていた。食用油と乳製品。垣原氏は開発のプロセスの違いをこう述べる。「油のなかでも特にサラダ油系は、菜種、大豆といった原料からどんどん余計なものを取り除き、精製してピュアなものにするやり方です。一方、乳製品の飲料やヨーグルトはいろいろなものを足しておいしいものをつくっていく。全く逆の発想です。食品の世界は奥が深いですね」

2018年3月には、消費者の健康を意識した機能性飲料や女性スタッフのアイデアを取り入れた「インスタ映え」するドリンクヨーグルトなど、垣原氏が開発に携わった製品が市場に出る予定だ。「『毎日牛乳』はブランドが確立していますが、それ以外の商品があることも多くの消費者に知ってほしいですね」と話す。

会社のやり方を大事に、外からの刺激を入れる役割も

同社に入り、業務の進め方の違いも実感している。「大手の食用油メーカーにいたときは役割分担が明確になっていましたが、ここでは製品開発をやりながらそれ以外のこともやっていかないと仕事が回りません」と垣原氏。たとえば食用油メーカーでは外部のデザイナーがパッケージデザインを担っていたが、同社では社員が考える。手作り感があり、社内に共有意識が生まれる一方で、スピードに欠ける感は否めない。しかし「会社にはそれぞれのやり方があります。時代の流れや世代間の考え方の違いなどをうまく融合しながら、みんなと力を合わせてベストな方法を探りたいと考えています」と前向きだ。

一方、社長や役員との距離が近くなった点をメリットに挙げる。食用油メーカーでは社長と直接話をしたことはなかったが、この会社ではなにかあれば相談に行き、方針について深く話もできる。「社長がよく話を聞いてくれるんです。外から来た人間の意見が会社の起爆剤というか刺激になればいいかなと思っています」

現在同社の事業は国内にとどまっているが、今後は世界に出ていく可能性もある。もともと前職のフード特区機構では同社の営業担当者と「海外に売っていく商品をつくれないか」という話をしていた。まだ準備の段階だが、同社のブランドがいずれ海外に渡る構想もあるという。

大阪での単身生活に思うこと

垣原氏は北海道に家族を残し単身で大阪に来た。北海道に帰るのは月に1回程度。「妻には負担をかけています」と話す。特に雪の多い時期は雪かきに苦労している妻を思いやる。メールや電話で励まし、帰宅したときには率先して雪かきを引き受けている。

家族と離れて暮らすことに不便さと寂しさはあるが、「経験を買われたことが自分の琴線にふれました」と言い切る。「就職は縁ですね。北海道から転職で大阪に来る人は少ないと思います。せいぜい東京まで。北海道の人にとって関西はかなり遠いイメージですよ」と笑う。

現在は借り上げ社宅で暮らす毎日。平日はなかなか家事ができないため、掃除や洗濯は土日にまとめてこなす。そんなこともあり「まだ難波や梅田という大阪の中心地にさえ出かけられず、地理的な感覚もつかめていません」と苦笑する。「関西に来て意外と四国が近いと知りました。これから時間を見つけていろいろな所に出かけてみたいですね」と楽しみに胸を膨らませている。