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HIGHLIGHT

無料セミナーや新商品開発で害虫防除業界をリード

環境機器株式会社

害虫防除の業務用資材販売で業績を伸ばす

木造家屋に被害を与えるシロアリ。飲食店に潜むゴキブリやネズミ。場所を選ばず飛び回るハエや蚊。生活に悪影響を及ぼす害虫や害獣を駆除するために使用する殺虫剤や捕獲器などの業務用資材を幅広く取りそろえ、害虫防除専門業者に販売して業績を伸ばしている環境機器。

業績は13期連続で増収増益。2016年までの約10年間で売上は約2倍、利益は約4.6倍になり、2016年度の経常利益率は8.5%と、成長性と高収益性が目を引く。自己資本比率も74%という高水準だ。その要因は何だろう。営業開発部シニア技術コンサルタントの菅野格朗氏は事業の特徴を挙げる。

まず、同社には昆虫学を専門とする社員がいること。博士号や修士号を持った虫の専門家7名と薬剤師1名がチームを組み、さらに専門の知識を持つ4名の顧問を含めた専門家集団が害虫の生態と防除方法の研究をしている。菅野氏もメンバーの一人だ。「大手上場企業も含めてこの業界で、昆虫学と薬学をバックグラウンドに持つ人材がこれだけいるのはめずらしいと思います」

この専門家チームが中心となり、どの商品をどのように使えば最も効果的に害虫防除ができるのか、現場で実際に防除を行う専門業者にノウハウを伝授している。

年間100回以上の無料セミナーを展開

ノウハウを伝える方法のひとつはセミナーだ。同社は主に害虫防除専門業者を対象に全国各地でセミナーを開催している。その数は年間100回以上。内容は害虫防除の基礎知識から応用まで。最近では、大きな話題になっているヒアリの生態と対策商品を紹介する特別セミナーを企画し、あっという間に申込者が定員に達した。

「害虫防除には虫や薬剤の専門知識が求められるにもかかわらず、専門の教育を受けられる機会が少ないのが現状です」と菅野氏はセミナー開催の背景にふれる。これまで経験の積み重ねでノウハウをつないできた害虫防除専門業者にとって、同社のセミナーは専門知識を広く深く、しかもタイムリーに学べる機会になっている。「昆虫学・薬学の基礎知識がある専門のメンバーが商品の使用方法について解説することで専門業者の疑問を解決し、新たなビジネスを生み出すのです」

セミナーは全て無料で開催される。業界のレベルアップを願い、豊富な知識と有益な情報を惜しみなく提供するこの取り組みによって、同社の名前は業界に知れ渡った。商品を買うなら環境機器から。そう思う顧客が増えるのも自然な成り行きだろう。

菅野氏は「害虫防除は地味な仕事だが衛生面を管理する重要なもの。いわば縁の下の力持ち」と話す。最近は海外からの人や物の流入に伴い、デング熱など蚊が媒介する感染症の侵入やヒアリなどの危険な外来昆虫や生物が国内で見つかっている。「より精度の高い防除方法や新しい防除資材の開発と普及を目指したい」と抱負を述べる。

高付加価値なオリジナル商品の開発も

事業のもうひとつの特徴は新商品の開発。同社はメーカー製品の販売だけでなく、オリジナルの害虫防除用品を開発している。その手法はオープンイノベーション方式。要素技術を持つ企業や大学と連携しながら、現場をよく知る同社が商品企画、現場実験、販売までの一連のプロセスを担い、付加価値の高い商品を生み出している。

たとえば「フライヘル」という商品がある。葉先の鋭い観葉植物に見えるこの商品は、エッジがあるところにとまりやすい飛翔性の昆虫の習性を利用した捕虫器だ。飛翔昆虫は葉を模した部分にとまり、殺虫剤を体に取り込んで粘着シートに落下する。昆虫の当たり前の行動を利用した新しい発想の商品だ。

開発にあたった菅野氏は、現場実験のために試作品を害虫防除専門業者と共にスーパーマーケットに持ち込み、設置を依頼した。開発期間は約3年。人の健康面にも安全で、粘着シートを取り換えるだけで約半年間使えるコストパフォーマンスに優れた商品が完成した。購入した顧客から「考えていた以上に虫が捕まる」と驚きの声が届くという。

現在開発中の商品もある。「Pest-Vision(ペストビジョン)」という人工知能を活用したリモートモニタリングシステムだ。現場のどこにどのような虫がどのくらい潜んでいるのか、人工知能を使ったクラウド型監視ソフトが24時間365日リアルタイムに遠隔監視する。赤外線カメラと動画解析ソフトがネズミの活動を監視することも可能で、目視や捕獲器設置などのアナログな手法で行われているやり方をがらりと変える画期的な防虫管理のシステムだ。

同社はこの商品のプロトタイプを2017年秋にリリースする。「これまで人に頼らざるを得なかった作業の時間と労力を減らし、付加価値の高い防除サービスを考えることができる。このシステムは害虫・害獣駆除の従来の考え方を変えてしまうでしょう」と菅野氏は新商品の可能性を示す。