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KEYPERSON

小野写真館を次のステージへ。
ブライダル業界24年の経験をすべて注ぐ

株式会社小野写真館マネージャー畠山泰巳

アニバーサリーの瞬間に立ち会う。それが多角化の本質

「こんなに華やかで楽しい仕事があるんだと思ったのが印象に残っていますね」。そう笑顔で語る畠山泰巳氏。「アンシャンテ」の支配人であり、エリアを統括するマネージャーだ。出身は北海道。ウェディングの仕事をしていた兄の義父を手伝ったことがきっかけでこの世界に入った。アルバイトも接客業ばかりでもともとサービス業気質があったのだろう。以来24年、ブライダル業界で働き続けている。千葉、東京と移り、前職は隣の栃木県の会社にフロントで入り、支配人を務めた。

「ブライダル業界は、晩婚化の影響もあり顧客の数自体は減っています。前職でも、そういった頭打ち感はありましたね。ただブライダルにはこだわりがあったので、他業界に移ろうとは思いませんでした」

畠山氏が小野写真館に引かれたのは、「写真」からはじまりブライダル事業、成人振袖事業へと多角化し、驚異の成長を遂げている、そのビジネスモデルだ。その姿は顧客ニーズを常につかみ、変化に富む“今”の時代を勝ち残っていく企業に見えたという。さらに畠山氏は、事業の多角化に写真以外の共通項も見いだしていた。

「根っこは同じです。『笑顔』『幸せ』『感動』といったハッピーへの深い関わり。アニバーサリーというかけがえのない瞬間に立ち会う仕事という意味では、私がブライダル業界で働いてきたモチベーションとなんら変わらないと思いました。だから、多角化もうまく連動して、渦を巻くように大きくなっているのだと思います。不安より、新しい地でのチャレンジにワクワクしましたね」

五感を駆使する一流のサービスマンを育てたい

入社して半年ほどだが、小野写真館の課題は明確だったという。「小野写真館はブライダル企業として2006年に再スタートし、約10年間突っ走ってきました。本業が写真館という、ある意味外様だったからこそ固定観念に縛られない斬新なアイデアで発展してきたのだと思います。けれど小野写真館がブライダルの分野でもう一段、二段高いステージに行くためには、業界のプロフェッショナルとしての真のサービスマンが育っていかないと難しいと感じましたね」

だからこそ、畠山氏のような業界で長年経験を積んできたプロフェッショナル人材が求められたのだ。お客様への立ち居振る舞い、言葉遣い、プランの提案力。すべてをレベルアップさせることが急務であり、畠山氏自身もそれが自分の役割だと理解している。

「どう提案すれば喜んでもらえるか。どう接客すれば満足してくれるのか。お客様は常にサインを出しています。五感をもっと働かせ、言葉にならない心の声までくみ取れるようになれば、お客様が求めているサービスを提供できるようになる。そうすれば、おのずから売上も上がってきます」

入社後、さっそく畠山氏は、スタッフの意識改革、スキルアップを目指し、外部の講師を呼んだ勉強会を月1回、幹部候補社員との経営ミーティングを月2回実施する。「まだ半年ほどですが、少しずつスタッフたちの意識も変わってきたように感じますね。売上数字にも変化の兆しが見えてきました」

ブライダルでしか味わえない、かけがえのない経験

「ブライダルの仕事は心底素晴らしい」と畠山氏は心の底から思っている。これまで結婚式で花束贈呈や両家ごあいさつの際に、担当した畠山氏の名前が読み上げられ、感謝の言葉をもらったことが何度もあるという。「サプライズでプレゼントをいただいたこともありますよ。これもそうです」と言いながら、ネクタイを優しくさすり、この仕事のやりがいを語った。

「一生涯で一番のハイライトに、本来裏方である自分を登場人物として入れていただける。これは本当にうれしいですし、プランナー冥利に尽きます。これほどの幸せや喜びを感じられる仕事は、そうそうないのではないでしょうか」

現在、畠山氏は26名のスタッフを抱えている。これまで何度もかけがえのない経験をしてきたからこそ、彼ら彼女らにも、そんな経験を一つでも多くしてほしいと願う。小野写真館が掲げる「写真を残すために式を挙げる」といった価値観は、まだまだ多くのお客様に浸透しているとは言い難い。むしろ驚きをもって受け取られることの方が多いかもしれない。

畠山氏にすればブライダルのプロゆえ、ウェディングにおける写真の大切さは十分過ぎるほど知っている。「だからこそ」と畠山氏は語気を強める。「式を挙げた後にお客様から、写真の価値について『おっしゃっていた通りでした』と感謝されることを目指したい。それこそが小野写真館の使命なのですから」

実は畠山氏の入社の決め手は、ビジネスモデルだけではない。最後に背中を押したのは、「仕事を楽しんでやる」「クリエイティブの重要性」「そして行動あるのみ」という社長のメッセージだった。

「施設も増え、レストランウェディングもできるようになりました。これからもっと店舗を増やしていきたいです。そして社長のメッセージにあるように、私もそんなコアバリューを胸に、次代の小野写真館を背負う人材を一人でも多く育てて、どんどん新たな店舗に送り出していきたいですね」

あとがき

最後まで残るのは写真、わかっているはずなのに、私たちはいかに写真をないがしろにしてきたことか。宴会文化の強い日本において、イベント自体にお金をかけることが当たり前になっている価値観を変えようとする小野写真館は紛れもなくベンチャー企業だ。同社はまさに今、過渡期にある。今後企業をスケールさせるためには新たな差別化を図らなければならない。社員一人一人のレベルが極限まで高まったときに見える光景はすでに描かれている。今後の展望が楽しみな企業がまた一つ増えた。