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マイクロ波技術で化学産業を変革する
大阪大学発ベンチャー企業の挑戦

マイクロ波化学株式会社

ものづくりのプロセスに有効とされながら、産業レベルの量産化に応用することが困難といわれてきたマイクロ波。マイクロ波化学株式会社は独自の技術で量産化が可能であることを立証し、世界で初めて(※)年間生産量3,200トンものプラントをつくった。その実績は旧来の方法を踏襲し続ける化学業界の常識をくつがえし、化学プロセスを変革する大きな一歩にもなった。大阪大学のマイクロ波化学研究をシーズに独自のマイクロ波技術を開発し、化学メーカーとの化学品原料などの共同開発や製造で飛躍的な成長を見せるベンチャー企業に焦点をあてた。
※同社公式サイトより

マイクロ波を使ったプロセスを提供するビジネス

大阪府吹田市にあるマイクロ波化学は、2007年に2人の創業者によって立ち上げられた。元商社勤務を経て、その後アメリカのベンチャー支援企業で経験を積んだ吉野巌代表取締役社長CEOと、大阪大学大学院の工学研究科でマイクロ波化学の研究をしていた塚原保徳取締役CSOの出会いが始まりである。

自らの力で果敢に道を開くベンチャーに魅力を感じた吉野氏と、大学での研究をシーズに世の中を変えたいと考える塚原氏で同社を設立。マイクロ波技術をコアに事業の可能性を探り、最終的にマイクロ波を使ってさまざまなものをつくるプロセス自体を提供するビジネスモデルにたどり着く。

しかし、マイクロ波は産業レベルへのスケールアップが難しく、リアクターと呼ばれる化学反応・物質生産のための装置の大型化はトライアル&エラーの連続。そのうえ顧客となる化学メーカーの多くはマイクロ波技術の有効性を認めながらも、いざプラントの導入になると二の足を踏むという心理的障壁が立ちはだかった。

そこで同社は自分たちの技術が産業化に対応できることを証明するために、自らプラントを立ち上げる。世界初となるマイクロ波を使った量産化工場である。実績の乏しいベンチャー企業が単独で大規模なプラントを建設するなど無謀な行為といわれるなかでの決断だった。

そして現在、同社はそのプラントを基軸に国内外の複数のメーカーとの共同事業を獲得。さらには宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同開発にも乗り出した。創業から約10年、マイクロ波技術で化学産業のあり方を変えようとしている同社の軌跡を見てみよう。