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KEYPERSON

プラントの立ち上げから製造出荷までを担う、若きプロジェクトリーダー

マイクロ波化学株式会社エンジニアリング部今井将太

数グラムの研究から量産の製造までを一貫して担当

今井将太氏は理科系の大学院を修了後、ある化学系のプラントで働いたのち同社に転職してきた。大学・大学院時代にマイクロ波の研究を専攻していたこともあり、同社に興味を持ったという。

入社して約4年。「まだ小さな会社だが、やろうとしていることは幅広い」と事業のスケールにやりがいを感じている。「ラボでは100ミリリットルという少ない量から、実際の工場では何トンというレベルまでを扱っている。その過程の作業を一貫して担うことができるのがおもしろいですね」と今井氏。最初はわずか数グラムのものを最終的には何トンという量の製品に仕上げることに達成感を覚えるという。

現在は三重県四日市市でプラントの立ち上げに携わっている。食品化学メーカーの太陽化学との合弁事業で、食品添加物である乳化剤のショ糖脂肪酸エステルをつくる工場だ。同社はこのプラントで独自のマイクロ波技術を使い、高品質・高純度のショ糖脂肪酸エステルを製造する計画だ。

化学とエンジニアリングに通じた実績が評価されて

今井氏はこのプロジェクトのリーダーである。大規模な工場の立ち上げから原料の製造を可能にするマイクロ波の仕組みをつくり、実際に工場を稼働させて製品を出荷させるところまでを担う。31歳の若さでこのポジションに立つのはまさに抜てきといえる。

その理由を本人は口にしないが、同社では「今井は化学と工学の両方がわかるから」と評価されている。今井氏は前職の化学系企業で技術部、製造技術部、製造部と幅広く製造に携わっていた。化学の知識とエンジニアリングの両方が求められるプラントの建設に、今井氏の実績と経験が生かされた。さらに「何事にもチャレンジする性格で、熱意は人一倍」という評価も加わる。年齢にかかわらず職務に最も適した人材を配置する同社の方針に、今井氏のキャリアと資質が合致した。

プロジェクトのメンバーは全員今井氏より年上だという。「人の上に立つという立場は初めてなので、やはり気を遣います。仕事をお願いするときも相手がどう思うかなと考えてしまうこともあります。でも、仕事はもちろん、仕事以外でもできるだけ皆とコミュニケーションをとるように心がけています」

そんな頑張りが実り、プロジェクトはスムーズに進行している。「成果が出たときにチームで喜べるのはうれしいですね。自分一人の作業だと喜ぶのもひとりですが、他の人がいっしょに喜んでくれると張り合いが出ます」

海外から宇宙まで、幅広い分野に携わりたい

今井氏は自身の仕事のポリシーについて「とりあえず頑張ること。無理だろうとあきらめてしまわずに、実際にやってみることを大事にしています」と話す。現在のプロジェクトでもマイクロ波の化学反応を起こす過程で「無理かもしれない」と感じた局面は多いという。

「最終製品をつくるまでに何度も不純物を取り除く作業があり、中にはこれは絶対取り除けないだろうと思う物質も出てきます。それでも試行錯誤していくうちになんとかできそうだというレベルになる」。その言葉に、これまで粘り強く仕事に取り組んできた様子がうかがえる。

今後は国内にとどまらず、海外、そして宇宙でのプロジェクトにも幅広く関わっていきたいと抱負を述べる。マイクロ波の技術は同じでも、同社が取り組む分野や製品は幅広い。その一つ一つにカスタマイズが求められ、全く同じプロセスは存在しない。ラボで行うシミュレーションとは違い、プラントでは予想していなかった事態が起こることもある。顧客の出荷目標に向けてスピード感も必要だ。「そういうこと全てを含めてチャレンジングな仕事だと思います」と魅力を語った。

あとがき

同社のターニングポイントとなった自社プラントの建設は、ベンチャー企業のセオリーに反したリスキーな冒険だと周囲から反対されたそうです。しかし、お話の中から、プラント建設は吉野氏と塚原氏が冷静に検証を積み重ねて行き着いた最適な選択肢だったことがうかがえました。同社の理念は「Make Wave, Make World. 世界が知らない世界をつくれ」。吉野氏のベンチャー魂と塚原氏の研究魂が化学反応を起こし、マイクロ波技術で新たな世界を切り開こうとしているフロンティアスピリットにあふれた会社です。