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EXECUTIVE

全ては、ふるさとへの恩返しから始まった

株式会社MTG代表取締役松下

創業のきっかけは、家族とふるさとへの恩返し

長崎県の五島列島で、4人兄弟の末っ子として育った松下氏。島での生い立ちが、「自分を育ててくれた家族とふるさとに、いつか恩返しをしたい」という、熱い思いにあふれる起業家気質を育んだのだ。

「中学、高校時代には自分でお金を稼ぐ方法を考え始め、小遣い稼ぎをしていた」という松下氏。新聞配達を皮切りに、当時人気のあった「パンダうさぎ」やニワトリを仕入れて売り始めた。これらが松下氏のビジネスの原点だ。

「いずれは名古屋で起業する」と、周囲に宣言していたのも中学生のころ。その後、その言葉どおりに、23歳で愛知県にて起業。どんな事業をすると決めていたわけではなかったが、起業することに迷いはなかった。家族を豊かにしたい、五島列島に恩返しをしたいという、強い思いがあったからだ。

中古車販売会社から始め、1996年にMTGを設立。創業後は、宅水便のキララ事業や化粧品、美容機器、フィットネス機器など、さまざまなジャンルの新規事業に次々と着手。会社は成長を続けている。

会社を成長させ、支えるのは同じ夢を見る仲間

松下氏が、創業以来一貫して取り組んできたのは仲間づくりだ。従業員同士の信頼関係を何よりも大切にするため、新たにリーダーとなって部下をもった従業員には、「部下を弟や妹と思えばいい」とアドバイスしてきた。

互いに思いやりながら、ときには真剣にぶつかり合える「大家族主義」が、会社の成長を支えてきたと信じている。また、3カ月に一度開かれる方針発表会では全従業員を名古屋に集め、企業理念や夢を共有できる環境づくりを行ってきた。

そうしてつくり上げてきた従業員の絆が試されることになったのが、2008年に経験した初めてのリコールだ。約1万2,000台の商品を自主回収し、営業が8カ月間ストップするという危機に陥ったとき、大半の従業員が松下氏を信じてともに問題解決にまい進してくれたという。

「ずっと人づくりに力を入れてきたことは間違っていなかったと心から感じました。結果的に、メーカーとしての責任感や品質への意識も高まり、従業員同士の絆もより固いものになったのです」。企業理念に共感し夢を共有できる仲間の存在は、MTGの財産であり、最大の強みなのだ。

戦略的ポジションをとりながら地方創生も実現する

「松下家と五島列島への恩返し」。全てはそこから始まり、それは今も変わらず、松下氏のエネルギーの原動力となっている。そして事業が広がるにつれ、ふるさとや創業地、ひいては日本に貢献していきたいという思いはさらに強くなっていった。

その思いは、会社をあげての地方創生への取り組みにつながっている。日本の技術に光をあて、世界へと発信し、さらにそれを継続していくことで、長く愛されるブランドとして確立していく。

それは地方にとっては雇用を生み、そこに住まう人々の自信となり、輝きを取り戻すきっかけとなるだろう。現在もいくつかの地方で、革新的な新規プロジェクトが進行中だという。MTGとともに、今は埋もれている技術や文化が光を浴びる日も、そう遠くはない。

「MTGはBEAUTY市場において戦略的ポジションをとれる唯一の会社だと自負しています。現在の売り上げが300億円ほど。私は、自分が経営者であるうちにこれを1兆円規模にしたいと思っています。途方もない数字かもしれませんが、創業時の売り上げが1億円で、それを現在300倍にできたことを考えれば、たったの30倍でいい。必ず実現できると信じています」