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HIGHLIGHT

検索が必要な物こそeコマース

株式会社MonotaRO

「探す」労力がかかる商材は何か

MonotaROという社名はユニークだ。どことなく桃太郎を想起させるのだが、間接資材業界に昔から残る、不透明な納期や商品価格という「鬼」を退治する桃太郎にかけており、欲しい商品が手に入る、モノが足りるという語呂合わせでもある。本来は、というべきか、そもそもは英語で間接資材を表す頭文字MRO(Maintenance:保全、Repair:修繕、Operations:操業)からとったものである。では、同社はなぜ「間接資材」に着目したのか。

瀬戸欣哉取締役会長は、住友商事の鉄鋼部門でeコマース事業を担当していた。当時は、さまざまなビジネスモデルにインターネットを用い始めていた時期。どんな領域、商材がeコマースに適しているかと考えたときに、検索が必要なもの、探すことに労力がかかるものが向いているのではないかと感じた。これはAmazonが始めていたBtoCだけでなく、BtoBにおいても同様だと考えたのだ。

そこで、発注数や使用時期が管理されている原材料(直接資材)ではなく、アイテム数が膨大だが購入個数が少ない、商品名が分かりにくい「現場で使う資材や道具(間接資材)」に目を付けた。仕入には労力と時間がかかるため、その人件費を省けるサービスに需要があるのではと考え、これが当たった。

パーソナライズの重要性、データサイエンスとITの融合

現場で使う間接資材をeコマースで展開し、新たなインターネットマーケットを作りだしたモノタロウ。2016年度の連結売上は696億円、2017年度の連結売上目標は842億円とその勢いはとどまることを知らない。ここまで好調が続くのには、もちろん理由がある。

好調を支えている最大の要因にデータベースマーケティングがある。ユーザーの購買履歴や閲覧履歴からデータマイニングして、分析することで、分析結果を検索のアルゴリズムに反映させており、1,000万点以上ある商品から効果的に商品を提示できるよう、検索精度を高めている。「Aの商品を買った人はBの商品も買っています」といったレコメンデーションも効果的に行っているのだ。分析結果は検索のアルゴリズムだけでなく、メルマガの配信やカタログのレイアウト、発送する顧客のリストアップにも反映され、購入率を高めている。

「われわれはユーザー個々の行動をデータ化してプログラムに組み込むことで、サイトがパーソナライズされていくよう心掛けています。お客様と“One on Oneの関係”を築き、お客様が求める商品を一人一人に適切に見せていくことが重要だと考えています」と久保征人データマーケティング部門長は語る。同社はデータベースマーケティング、ITエンジニアリングにかなりの人員を割いているという。

「こういったOne on One機能については、データサイエンティストだけでも作れませんし、ITエンジニアだけでも作れません。内製のシステムの上で、データサイエンスの成果をいかにサービスに反映させるかが重要ですが、これには高度なITエンジニアリングが必要になります。ですので、データサイエンティストと同等に、ITエンジニアも重要なのです」

最適な商品を購買につなげるために

「われわれのビジネスはBtoBなので、お客様のファーストプライオリティーは価格よりも品ぞろえと時間なのです」と久保氏。短時間で欲しい物が探せ、すぐに購入でき、スピーディーに届く「ワンストップ」。それによってお客様が本来の業務に時間を使うことができる。これこそが240万もの顧客に支持されている理由にほかならない。

「探している物がすぐに買える。そのための機能開発やデータ分析が非常に重要だと思っています」と鈴木雅哉代表執行役社長の語気は強い。「商品点数、検索精度の高さを特長にしなければ、他社と差別化ができません」

これまでずっと順風満帆だったわけではない。創業翌年にはeコマースの会社でありながら、チラシを打ち、カタログを作って通信販売をスタートさせている。大手企業を顧客にしようとスタートしたeコマース事業だが、市場が成熟していなかったこと、商品点数がそろわなかったこともあり、まずは中小企業にダイレクトに響くよう、かじを切った。事業モデルが変わったのはこの一度限り。その甲斐あって5年目で黒字に転換している。

カタログは現在も作られ、カテゴリ別に約20冊に分冊されている。一覧性のあるカタログのメリットを理解したうえで、マーケティングデータに基づき効果的に送付。カタログを愛用している顧客も多いという。Webとカタログ、それぞれの特性を生かし購入率を高めている。