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HIGHLIGHT

セキュリティ分野で世界へ。変革し続ける100年企業

株式会社三宅

ピンチをチャンスに。輸入販売から自社開発にかじを切る

全国小売店の万引による推定被害総額は年間約4,615億円。その驚きの数値に、真っ向から立ち向かっている企業がある。

それが国内シェアトップクラスのセキュリティ事業を展開する、三宅だ。流通業界の万引防止のニーズに応え、セキュリティ事業に参入したのは1983年。アメリカ製のセキュリティシステムの輸入販売から始めるが、初年度は1台も売れないという苦戦を強いられた。

さらに数年後、追い打ちをかけるように、仕入れ元のアメリカ企業が日本市場から撤退してしまう。当時の三宅は、国内シェアトップクラスの針メーカーから、バーコード印刷シェアトップクラスの印刷会社へ転身していた。事業変革が軌道に乗っており、セキュリティ事業はサイドビジネス。打ち切る選択肢もあった。

だが、時代はレンタルビデオやCDショップが急増したころで、追い風はあり、防犯ニーズは高まる一方。そこで、防犯タグの自社開発を目指すべく、開発部門の人材を募集し、「ダイカットタグ」という独自の製品をつくり上げた。この防犯タグが、海外市場を切り開いていく。

オンリーワン技術で世界シェア30%を目指す

ダイカットタグは、針メーカーとして培った型抜き技術を生かしたもので、金型でアルミを打ち抜いて精密な回路を構築。しかも打ち抜いて不要になったアルミは全量リサイクルできるため、不要なアルミを溶かす化学溶剤を使わずに済む。タグを燃やしてもダイオキシンが発生せず、他社にない優位性がある。

商品ロス率を下げるだけではなく、CO2排出量削減にも貢献するダイカットタグは、世界市場で主流なセキュリティタグの製法とも異なっていた。海外の特許を次々取得し、今では23カ国の特許を取得。三宅製または三宅の特許を買った企業の生産は2億枚 にも達する。

「防犯タグは世界で60億枚生産されているといわれています。そのうちの2億枚ですからまだまだです。将来的には30%のシェアまで伸ばしたいと考えています」と三宅正光代表取締役社長は語り、オンリーワン技術の伸びしろはまだあると自負する。

一方、国内に目を向ければ三宅の国内シェアトップクラスの快進撃は続いている。海外では防犯タグを主体に販売展開しているが、国内ではセキュリティゲートや監視カメラとセットでのシステム販売を行い、コンサルティングサービス事業も展開するなど、多角的な経営を行っている。

多分野の情報漏えいを阻止する、次世代のセキュリティを開拓

三宅の製品は、ある有名カジュアルショップで全店に採用されているというインクタグ(無理に外すとインクが飛散する)など、出荷数が50万個以上の実績を持つものもある。しかし三宅は製品開発の手を緩めようとはしない。

近年は万引防止システムのノウハウを生かし、一般企業の情報漏えい防止のニーズにも応え、情報セキュリティシステムの開発が目覚ましい。非常に高い精度を誇る顔認証エンジン搭載の「顔跡 KAOATO」や、セキュリティゲートに反応する特殊な素材を織り込んだセキュリティペーパーを開発し、同時にシステム開発会社と提携して、全国規模でのサービスやサポート体制の強化を図る。「パソコンやサーバーのセキュリティに関心が高まっていますが、情報漏えいが一番多いのは紙という物理的な経路です。この物理的な情報のセキュリティ対策が目下の課題です」と三宅氏は語る。

セキュリティ分野における電波技術と印刷技術、その2つを持つ企業は他にない。この強みを生かすべく、三宅氏はこう続ける。「IoT(Internet of Things)になぞらえた造語『SoT(Security of Things)』、つまりモノのセキュリティを一般企業、医療福祉分野や省庁など幅広い分野に広めていく。全てのものがセキュリティで守られた社会の実現を目指します」

1917年に縫い針メーカーとして起業して100年。国内外、そして次世代を見据えた三宅の進化は、まだまだ止まらない。