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EXECUTIVE

万引から企業の情報漏えいまで、ハイレベルで防ぐ

株式会社三宅代表取締役社長三宅正光

針工場から印刷会社へ。事業転換の立役者に抜てき

祖父、父と2代続けて製針業をなりわいとし、それも祖父の代から国内トップクラスのシェアを誇った実家の家業。3代目の三宅氏(現代表取締役社長)も物心ついたときから「いずれは自分が継ぐもの」と自覚していたという。

高校まで地元である広島で暮らしていたが、大学進学を機に上京。卒業後はいきなり家業には入らず、父の命で入社した先は、埼玉県草加市にある小さな印刷会社だった。「1970年代になって円高の影響を受け、針の海外輸出は大不振でした。そのころ、うちでは縫い針だけではなく服の値札を留める虫ピン製造も手がけていて、取引先から値札の印刷もできないかと言われていたんです。それで、私に印刷技術習得の白羽の矢が立ったというわけです」と笑う三宅氏。

針についてイチから学ぶのなら、印刷技術をイチから学んで家業に還元してほしい。その父の思いをくんで、三宅氏は1年間印刷工場に住み込みで働く。

だが、印刷技術を学んだといってもわずか1年。家業に入ると、3台の印刷機が導入され、20代の三宅氏と40代の従業員数名で、印刷機と格闘する日々が始まった。

1年間のアメリカ滞在をきっかけに「バーコードの三宅」へ

「もっと上を目指そう」と家業に入った2年後、単身渡米。1年間、アメリカの印刷会社で働いたことで、印刷技術の向上だけではなく、社運を大きく決定づける技術を目の当たりにする。

アメリカの先端技術、そこには日本ではまだ普及していないバーコード印刷があった。「近い将来、日本でも導入される」。そう確信した三宅氏は、帰国後、いち早くバーコード印刷の技術を確立していったのだ。

これが功を奏し、針メーカーから一躍「バーコードの三宅」として、わずか10年でバーコード印刷シェアトップクラスの印刷会社へと躍り出た。その後、日本の流通市場におけるバーコードタグやPOSシステム(商品の販売情報の管理システム)の急速な普及という時流に乗って、事業は順調に拡大する。

だが、同時に耳にすることが増えていったのが、流通市場の万引防止対策のニーズだ。それならとセキュリティ事業にも着手するが苦戦する。「アメリカの万引防止システムの輸入販売をスタートさせたのですが、時代を先取りしすぎたのか1年たっても1台も売れなくて」と苦笑する。

しかし、海外生活、地道な営業活動、全ての経験が土台になって、今に生かされていると穏やかに語る。1991年、42歳で3代目代表取締役社長に就任したころには、すでに事業の軸足がセキュリティ事業にあった。

店舗からオフィスへ、次世代セキュリティを構築

現在では大手の家電量販店やカジュアルファッションブランド全店でも三宅の製品が採用され、その実績が評判を呼び、新規顧客を創出する好循環に入っている。

「営業に行っては断られることを何度も繰り返し、地道に築いていった実績です。世界のセキュリティ市場の9割がアメリカ製で、日本も例外ではありません。すでに店舗で導入済みのアメリカ製品を国産に切り替えてもらうのは至難の業でした」と三宅氏は語る。

近年、国内に中国企業も参入してきているが、三宅では価格競争で勝つことより、メンテナンスやサポートの充実と迅速な対応に努め、顧客との信頼関係を築いていくことを重視している。そのスタンスは今も変わらない。店舗のセキュリティ強化は急務ですし、10年後にはコンビニエンスストアの無人化が進むと読んでいます」と語る三宅氏だが、こうしたニーズに応えつつ、次なる主軸もすでに動き出している。

オフィスの情報セキュリティシステムの構築。書類などの紙による企業情報不正流出を危惧し、紙の不正な持ち出しを敏感に察知するセキュリティゲートなどの製品開発にも熱が入る。「2018年から本格的に動き出します」と新たな変革に、目を輝かせた。