地方から未来の働き方を探すウェブメディア

HIGHLIGHT

わさびの機能性に着目し、健康づくりに貢献する企業へ

金印株式会社

独自のわさび栽培技術で、均質かつ高品質な原料調達を実現

良い商品は良い原料から。そう確信し、金印は1929年の創業以来、国産の本わさびと加工わさび商品の原料になる西洋わさびを追求し、全国の生産者と栽培契約を結んできた。そして良質な加工わさび商品を製造するべく、高品質のわさび栽培試験や品質改良の研究にもいそしんでいる。「研究には生産者の協力が欠かせません」と語るのは山岸信夫専務取締役だ。

西洋わさびは種ではなく、種根といって収穫したわさびの根を植え付けて栽培するのが一般的だが、これを繰り返すと品質や味が劣化してしまう。そこで、金印では画期的な栽培方法を開発。わさびの芽の中心にある0.05mmの生長点という細胞分裂が活発な部分を、試験管で培養して育苗しているのだ。

「良質な苗があってこそ、良質な西洋わさび原料を栽培でき、良質な原料を安定的に確保できます。また、健康な土づくりの研究も重ね、生産者と二人三脚で西洋わさびを育てています」と良い原料への飽くなき探求を続けている。

わさびの機能性を発見し、健康食品、化粧品の新分野に参入

こうした真摯(しんし)な取り組みは、地元大学との産学連携によるわさび機能性成分の研究へと広がっている。

本わさびの根や茎に多く含まれる「ワサビスルフィニル(R)」、葉に含まれる「ワサビフラボン TM」、香り成分の「ワサビチオヘキシル(R)」を次々に発見。抗酸化作用や解毒作用、美肌効果や認知症予防効果など、わさびにさまざまな機能性成分があることを解明していく。そして2004年、健康食品「ワサビスルフィニル(R)」シリーズを、その翌年には基礎化粧品「サンスルフィー美要(R)化粧品」シリーズを発売。健康食品、化粧品という新たな分野への参入に踏み切った。

これらは話題性を狙った取り組みでも、奇をてらった事業拡大でもない。機能性エビデンスに基づいた開発であり、「食品を通じて人類の健康づくりと世界の食文化の向上に貢献しよう」という経営理念による新機軸である。化粧品開発は4代目で現在の代表取締役社長の小林桂子氏が社長就任前から取り組んでいた分野でもあり、事業収益の新たな柱として今後さらに注力していく方針だ。

「脱・わさび」とわさび文化の普及。
「本物志向」を追求しながら、両極を推進

「脱・わさび」ともいえる商品展開も進む。2015年には国内の精肉市場向けに、肉料理に合う業務用調味料「金印スパイスセレクション」シリーズを発売。2018年3月には既存4品に、新たに4品を加えてさらなる需要拡大を図っている。「日本でまだあまり知られていない世界各地のスパイスの普及を念頭に置いたシリーズです。『わさびの金印』から脱却し、未開拓の調味料の市場を開拓し、総合スパイスメーカー、金印としての存在感を高める狙いがあります」(山岸氏)

一方、2013年にユネスコ無形文化遺産に和食が登録されると、わさびの認知度、ニーズが世界規模で広がっていった。「ステーキにわさびをつけて食べるなど、わさびの用途は多様化し、品質重視の機運も高まってきています。同時に、この追い風に乗り、アメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアの文化や生活環境の違いを熟慮した法律面や嗜好(しこう)性のさらなるローカライズ強化も進めていきます」と気を緩めることがない。

年商約70億円を3年後には100億円にしたいと熱く語る山岸氏。そのためにも、海外売上比率が2015年で約16%強、2018年では約25%と高まる流れに乗って、ゆくゆくは30%に引き上げたいと意欲を示す。

金印の多角的かつグローバルな事業展開の伸びしろは大きい。