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育てることは学ぶこと、新しいやりがいと出会う

株式会社筑水キャニコム経営役員 元気人材開発line 本部長 社長戦略室/内部監査室長中山

若き経営者の参謀として40代後半での転職

前職ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)の関連組織でコーディネーターとして働いていた中山淳氏。米国防総省やNASA(米航空宇宙局)等との事業に関わっていたが、アメリカ赴任時代に楽しんでいたラグビーの対戦相手として知り合った包行良光社長から、あるとき連絡があった。

東京やアメリカで20年以上、ダイヤモンド工具や宇宙関連の海外ビジネスに携わってきた中山氏。転職をするとこれまでの経験や人脈も生かせなくなるかもしれない。さらに農業用・建設用運搬車や草刈機など、筑水キャニコムの製品に関しての経験もない。それでも、2度工場を見学した後、入社を決めた。

「最大の理由は社長の人柄に引かれたからです。年齢こそ私より一回り若いですが、周りから信頼されるリーダーとして、魅力を感じました」と中山氏。また、前職の時、出向で10人程のグループ会社の社長や副社長を経験し、中小企業のマネジメント面では手腕が生かせると考えた。「40代後半に入って仕事と環境が大きく変わることになりますが、不安よりも、楽しみな気持ちが大きかった。若き経営者を支える仕事にやりがいと面白さを感じました」と2015年8月に入社。

あえて懐に飛び込むのではなく、客観的な立場で

入社後の印象は、「良い意味で地方の中小メーカーで、ファミリー企業」だと話す中山氏。意思決定が早く、大企業のような派閥はない。オーナーシップが強すぎることもなく、社長が自身の考えやメッセージを発信して、中間管理職以上が受け止め、さらに部下に浸透させていく体制ができつつあったという。東京オフィスに所属して、まずは海外営業や取引・契約、企画、事業計画などに携わり、今は経営役員として採用・人材開発などの職務に就いている。

「中途で入った私を客観的に見てみると、東京出身、大手企業にいた、海外駐在経験、社長の友人……といった情報が先行して、周囲からは受け止められているんだろうなと思いました」と中山氏。本来ならば自分から相手の懐に飛び込んでいくタイプだが、社長からは社員と「程よい距離を」と言われている。仲間になりつつも、適度な距離感も意識しているという。「今までの文化や習慣を尊重しつつ、進化・変化を促すには、客観的な立場の維持も必要だと考えています」

また、地域ともよい関わりを作っていくため、リレーマラソンや会社として協賛するたんぼラグビー大会に、若手とともにチームで参戦。「イベントへの参加を通して、若手を中心に楽しい雰囲気づくりに貢献する機会を、今後はさらに企画したい」と話す。

「100年企業」に向けた「人財育成」が課題

入社して4年がたち、「若い経営者が若手を率いてさまざまな課題にチャレンジしながら、事業の発展を目指す、面白い時期にあると感じている」と中山氏。製品的にはどちらかと言うと古典的な産業でも、今は人工知能(AI)や自動運転などの挑戦がめじろ押しだ。また、人事担当として会社全体と向き合うことになり、さらに仕事のやりがいを感じている。

人材が不足しているミドル層の採用に力を注ぎつつ、待遇改善や、定着率の向上など、すべきことはたくさんある。また、「人財育成」においては、導入しているメンター制度の強化や、次世代のリーダー候補への働きかけを行う予定だ。半年間のリーダー研修などを通して、「失敗を恐れずに、皆で協力して果敢にチャレンジする勇気をもっと出せるようになってもらいたい」

そこで生きるのが、中山氏の経験だ。さまざまな仕事を通し、「本当にいろんな失敗を経験してきました」と振り返る。だからこそ、社員のみんなにこれまでとは違った方法や考え方を伝えられるし、成功するための引き出しも多くある。畑は違うからこそ、自分の経験が次の世代の役に立てばと考えている。

「自分は出世欲がないタイプ」と笑う中山氏が今やりがいに感じているのは「人財育成」だ。人に教えるためには自分がまず勉強する必要がある。全社員と向き合い、皆が活躍できるように環境を整える――それをやりがいと感じるようになったことは、転職で得られた価値だと断言した。

あとがき

会長が大切にしてきた「ものづくりは演歌だ」の思いを社長が引き継ぎ、AIの導入、自動運転化など時代に合わせた開発も手がけている筑水キャニコム。今後は海外市場に目を向け、グローバル企業化がますます加速していくと感じました。