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EXECUTIVE

社内改革と海外展開でキャニコムの新時代を築く

株式会社筑水キャニコム代表取締役社長包行良光

業務の平準化に取り組み、働きやすさを実現

「離職を食い止めなければならない」。2015年に包行良光氏が社長に就任して、まず心に決めたことだった。特に社長就任前の2010年から2012年にかけては社内の体制が落ち着かなかったこともあり、中途で入社した人材はほぼ辞めてしまい、離職率が高かったという。包行社長は早速、社内改革に取りかかった。

まず社内の問題点を洗い出すと、社員個々人の技量によって、仕事内容や仕事量に差があることがわかった。業務を早くこなせるスキルがある人にさまざまな仕事が集中してしまい、業務が平準化できていない。これからはチームで仕事を回せるように生まれ変わる必要があった。「そこで社内の仕事を可視化し、これまでのように個々人のスキルに合わせた業務を割り振るのではなく、チーム全体で分担して仕事をさばくやり方に変えたんです」

チームで問題を解決する体制に変わったことで、一人に負荷がかかりすぎることはなくなった。結果、優秀な人材の流出に歯止めがかかり、生産性の向上に効果があったという。また、業務を平準化することで個人のスキル向上にも役立っている。「組織の風通しを良くし、道筋を示したらあとは後押しするのが私の役割だと思っています」

タイミングを逃さない開発スピードと他社とのコラボで事業展開も

チーム内の風通しがよくなり、部署間のコミュニケーションも活発になった。その効果は製品開発のスピードにも表れているという。宴席で浮かんだアイデアを元に開発を開始し、たった2年でリリースにこぎつけることができた商品がある。それが2019年6月に発売された造林作業で威力を発揮する、伐根粉砕・下刈り対応機「山もっとジョージ」だ。

「私たちの会社が大切にするのはやはり、『ものづくりは演歌だ』。お客様が『ほしい』と思ったものを商品化し、お客様も私たちも『良い』と思ったものを販売します」と包行社長が語るとおり、同社の商品づくりには「ニーズ」ではなく「ウォンツ」が根底にある。ただ最近は、独自の開発だけにとどまらない。「まだ世の中に出ていない、みんながワクワクするようなものづくりをしたいんです。そのために互いの技術力を生かした他社とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいきたいと考えています」

例えば、自動走行機能が搭載された商品も、ワクワクするものづくりの一つだ。既に販売されている商品は、包行社長が考える「完成形」の2~3割程度の完成度だという。どんな道でも難なく進め、人を認識する次世代の機器を開発するために、技術協力を求めるなどさまざまなアプローチを試みている。

海外展開も加速させ、「100億円企業」に

さらに、海外展開にも意欲的だ。現在、100%子会社の現地法人がアメリカ(シアトル)、韓国(釜山)、中国(常州)に、また営業所がオーストリア、フィリピン、タイにある。欧米やアジアの46カ国で製品を販売し、海外の売上高比率は、44%にのぼる(2018年度)。この売上を60%まで伸ばしたいと考えている。そのためにはグローバル人材の活用も重要だ。「世界各国に社員を派遣し、現地で市場ニーズを把握する。そして、その土地や環境にあった商品の開発・提案をしていく。当社の理念はそのままに、海外でさらに事業を発展させていく予定です」

海外企業とのコラボレーションにも取り組んでいて、既に台湾、アメリカの企業と実績がある。今後はインドネシアやマレーシアでの活動を考えているという。

同社は今、理念はそのままに、変化を楽しむ会社へと変わりつつある。包行社長の入社当時は180人だった社員数も15年で278人に増えた。社内改革と優秀な人材の活用、お客様の声をとことん聞くものづくり、他社と共に力を合わせて未来をつくるコラボレーション。これら3つの柱を軸とし、経営目標である「ビジョン300」――「100年企業(現在65期)」「100億円売上高」「100カ国取引」を目指す。