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医療診断、セキュリティーの未来を変える、次世代型放射線検出器

株式会社ANSeeN

健康診断で多くの人が受診するレントゲン検査。その撮影に使われているのがX線。肉眼では見えない光だ。株式会社ANSeeNはこのX線をいま以上に安全に活用できるようにしながら、より高精細の画像を得る、次世代型放射線検出器の開発に挑戦している。開発の鍵となるのは化合物半導体であるCdTe(カドミウムテルライド)放射線検出器とANSeeN独自のフォトンカウンティング技術だ。静岡大学発ベンチャー企業の革新的取り組みに迫った。

注目の化合物半導体CdTeで切り開く、放射線検出器の未来

静岡県浜松市。1926年、この地において浜松高等工業学校(現:静岡大学工学部)助教授の高柳健次郎氏による世界初の電子式テレビ送受像実験が成功した。以降、浜松市では高柳氏の技術を継承した光産業が興り、先端の光科学の研究が進められ、世界中の研究者の耳目を集めてきた。

2013年には、静岡大学を含む地元の3大学と1企業が共同で光科学、光産業の一大拠点としての力を強化するため「浜松光宣言2013」を発表した。「浜松光宣言2013」の中核となるのが静岡大学浜松キャンパス内の共同研究施設「光創起イノベーション研究拠点」だ。静岡大学発のベンチャー企業であるANSeeNはここにオフィスを構える。

ANSeeNが進めるのは、次世代のX線イメージングデバイスであるCdTe(カドミウムテルライド)半導体放射線検出器の開発。これは、静岡大学電子工学研究所と静岡大学大学院情報学研究科で教授を務める青木徹氏がその研究室において、長年にわたり研究を続けてきた半導体技術がベースにある。

半導体技術が使用されているものとして一般の人にもなじみがあるのは、X線を使ったレントゲン検査やCT検査だ。レントゲン写真はモノクロで表示される影絵のようなもの。体内を表示できるとはいえ、鮮明とは言い難い。また、安全な範囲ではあるが、現状のCT検査は被ばく量が高い。

これが、CdTe放射線検出器を用いるX線画像になると、高精細の画像を低い線量で得ることができる。さらにANSeeN独自のフォトンカウンティング技術と呼ばれる、フォトン(光の粒子)の数を計測して光の量を測る方法を組み合わせることで画像のカラー化が実現できる。これにより、がん細胞の良性・悪性といった判別も可能になるという。